独り善がりの人間だから、俗世間を嫌い、人目を避けて山河を歩く。江差の白い鴎は、運命に逆らうことなく、すべてを風波に任せて飛びまわっているようだ。鴎島に象徴されるように、白鴎は江差の代名詞だ。詩題は『鴎問』。
ヨットマリーナと江差港が見えます
朝がすみに数え切れない家々が立ち並び、どこの家からも朝飯を炊く煙が四方にたなびいている。姥神神社の崖上にあった雲石楼から見る下街の早朝を詠んでいる。商家が軒を連ねた豊かで落ち着いた街並みは、現在の「いにしえ街道」朝の情景だ。詩題は『炊煙』。
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春を告げる穏やかな風が吹いてきたが、肌をさす寒さはまだ厳しい。振り向けば、残雪はまだ冬の名残。今朝、はじめて聞く花売りの声は、街中に春の到来をふりまいていった、という。北海道で一番早い江差の春は、街に聞こえて来る花売りの声に始まる。詩題は『賁花聲』。
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雪雲が街空を覆い、いつもはさわやかな音の竹筧も凍りついて動かない。その音に代わって、今夜の雪の前触だろうか、乱れとぶ霰が軒を打って激しい音を立てゝいる。乱霰の音もまた、風の街江差の象徴だ。詩題は『雪意』。
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何時しか、残月も西窓に消えた。時を告げる鐘の音も寒さに凍りついたように聞こえる。振り返る十年、何もせず独り姑蘇城(春秋時代に呉の国の都に建ち、戦利品の美女が群がる桃源郷のような城)でうつつを抜かしていたようなものだ。寒夜、法華寺の鐘を聞きながら自省する若い詩人の胸中を詠んだもの。詩題は『霜鐘』。
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夕陽は山かげに落ちて、稜線は紫色に変わりはじめた。美しい夕暮れに一杯の酒が欲しくなり、そろそろ帰ろうと叫ぶ、漁師仲間の声が聞こえる。日本一を誇る江差の夕焼けを詠んだもの。詩題は『山気日夕佳』。
鴎島と江差港が見えます





