鐘声-SHOUSEI

西窓に残月落ち、霜気に鐘声凍る 喚回すれば十年の夢、独り泊す姑蘇の城
何時しか、残月も西窓に消えた。時を告げる鐘の音も寒さに凍りついたように聞こえる。振り返る十年、何もせず独り姑蘇城(春秋時代に呉の国の都に建ち、戦利品の美女が群がる桃源郷のような城)でうつつを抜かしていたようなものだ。寒夜、法華寺の鐘を聞きながら自省する若い詩人の胸中を詠んだもの。詩題は『霜鐘』。