夕照-SEKISHOU
夕照は山背に落ち、孱顔は紫初めんと欲す 爽然として一酔を思い、岸を隔て帰漁をよぶ
夕陽は山かげに落ちて、稜線は紫色に変わりはじめた。美しい夕暮れに一杯の酒が欲しくなり、そろそろ帰ろうと叫ぶ、漁師仲間の声が聞こえる。日本一を誇る江差の夕焼けを詠んだもの。詩題は『山気日夕佳』。
海月-KAIGETSU
海月清風静か、金波澹として疲れず 人この景を賞するなし、一擲漁船に付す
海に浮かぶ月影は清く、風は音もなく吹いて、黄金の波はゆったりと流れを止めたようだ。こんな美しい夜景を眺める人もいない。ただ独り、漁舟に身を横たえて、何時までも揺られていたいものだ。江差の海は風波が荒い。それだけに風のない月夜の海の美しさは格別である。詩題は『風恬月朗』。